こんにちは、Sayakaradioです。
第104回目の投稿の今回は、
Richard Harrisさんの“MacArthur Park” をご紹介します。
個人的に好きな曲です。中毒性があるなと思います。
7分半という長さと壮大なオーケストラに、聴くたびに短編映画でも観たかのような満足感を感じます。
まだ聴いたことがない方は、下記のYouTubeリンクから再生しながら読み進めてみてください↓
【★プチ解説★】調べてみた!”MacArthur Park” はどんな曲?
“MacArthur Park” はアイルランドの俳優兼歌手のRichard Harrisさんの楽曲。
1968年にアルバム“A Tramp Shining” にて収録されました。
Jimmy Webb(ジミー・ウェッブ)さんによって作詞作曲された楽曲で、もともとは “The Association” というバンドのために作られました。
しかしバンド側があまりにも風変わりすぎるこの曲を拒否したため、映画『ハリー・ポッター』シリーズの初代ダンブルドア校長役で知られる俳優のRichard Harris(リチャード・ハリス)さんに提供されました。

出典元:https://pophistorydig.com/topics/tag/jimmy-webb-richard-harris/ 左ジミーさん、右リチャードさん
この楽曲は7分超の長さで、独特な歌詞と壮大なオーケストラを用いた編曲、情感込めたリチャードさんの歌い方によって、プログレッシブ・ポップの先駆けと評される名曲です。
当時のポップ・ミュージックとしては異例の構成で、極めて斬新な作品として注目されました。
リリース当時は評論家の間で賛否が分かれましたが、全米シングルチャートBillboard Hot 100で2位を記録するヒットとなっています。
後に1978年にDonna Summer(ドナ・サマー)さんによるディスコバージョンがリリースされ、こちらは全米1位を獲得しました。
“MacArthur Park”の歌詞は作詞を手がけたJimmyさんの失恋の実体験が由来だそう。
彼が実体験でロサンゼルスのマッカーサー・パーク(実際に存在する公園)でデートしたことに着想を得たんだそうです。
Jimmyさんはロサンゼルス・タイムズ紙で「マッカーサー公園は、私たちがランチをしたり、パドルボートに乗ったり、アヒルに餌をやったりするために集まった場所なんだ。彼女は通りの向かいの生命保険会社で働いていたからね。この歌詞は私にとってリアルなできごとであり、決してサイケデリックなことじゃない。ケーキは入手可能な物だったし、誕生日パーティーで公園で見たものだったよ。」と語っています。
Someone left the cake out in the rain
誰かさんが雨の中にケーキを置いてったAnd I’ll never have that recipe again, oh no
もう二度と同じレシピは手に入らないってのに、なんてこった
ここでのケーキは「二人の愛」、そしてレシピは「その愛の過程、思い出」を比喩的に表現していると解釈されています。
つまり、彼女が思い出の公園に、二人で育んだ愛を置いて去ってしまった
という悲痛な心情を込めたものなのです。
“MacArthur Park” はポップ史に残る異色の楽曲であり、単なるラブソングではなく深い感情と詩的表現が融合した名作です。
俳優でもあるリチャードさんがドラマチックに歌ったからこそ、謎めいた歌詞に命が宿り、多くのリスナーを惹きつけました。
音程が外れているだの歌唱力がないだのと言われることもあったみたいですが、もう歌というよりセリフに近いかもしれません。
もし初めてこの曲を聴くのであれば、リチャード・ハリス版とドナ・サマー版の両方を聴き比べてみるのも面白いでしょう!
同じ曲なのに全然テイストが違って、どちらも別の良さがあります。
【★和訳★】”MacArthur Park” -Richard Harris-
※以下はSayakaRadioの解釈による翻訳です。
厳密に正確な訳ではないことをご理解の上でご覧いただくようお願いいたします。
翻訳機で見かける不自然な文にならないよう、意訳も織り込んでいます。
(なるべく脚色しないよう心がけます)
[Verse 1]
Spring was never waiting for us, girl
It ran one step ahead
As we followed in the dance
Between the parted pages and were pressed
In love’s hot, fevered iron
Like a striped pair of pants
[Chorus]
MacArthur’s Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left the cake out in the rain
I don’t think that I can take it
‘Cause it took so long to bake it
And I’ll never have that recipe again, oh no
[Verse 2]
I recall the yellow cotton dress
Foaming like a wave
On the ground around your knees
The birds like tender babies in your hands
And the old men playing checkers
By the trees
黄色のコットンドレスを思い出す
波のようにふんわり広がって
きみの膝のまわりを揺れていた
きみの手の中には小さな鳥たち
そして木のそばにはチェッカーで遊ぶ老人たち
[Chorus]
MacArthur’s Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left the cake out in the rain
I don’t think that I can take it
‘Cause it took so long to bake it
And I’ll never have that recipe again, oh no
[Bridge 1]
There will be another song for me
For I will sing it
There will be another dream for me
Someone will bring it
I will drink the wine while it is warm
And never let you catch me
Looking at the sun
And after all the loves of my life
After all the loves of my life
You’ll still be the one
俺のための曲が書き上がりそうだ
歌ってやるさ
また新しい恋もできそうだしな
きっと誰かが現れる
不味くならないうちにワインを飲み干そう
俺の愛をないがしろにしたきみに
太陽を見つめ前へ進む俺の姿なんて見させない
なんて強がっても結局は思う
今までの人生いろんな恋愛を経たが
本当に愛したのはきみだけだ
[Bridge 2]
I will take my life into my hands
And I will use it
I will win the worship in their eyes
And I will lose it
I will have the things that I desire
And my passion flow
Like rivers through the sky
And after all the loves of my life
Oh, after all the loves in my life
I’ll be thinking of you
And wondering why
俺の人生はこの手の中にある
思うままに生きてやるさ
周りの憧れの的になるも良し
失望されるも自分次第
望むものすべて手に入れてやる
僕の情熱は漂い続けるんだ
まるで空に流れる川のようにな
なんて強がっても結局
強がってもどうせ
考えて続けてしまうんだろう
なんでこんなことになったのかと
[Instrumental Interlude]
[Chorus]
MacArthur’s Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left the cake out in the rain
I don’t think that I can take it
‘Cause it took so long to bake it
And I’ll never have that recipe again
Oh no
Oh no
マッカーサーパークが暗闇に溶けていく
緑の甘いデコレーションが流れ落ちていく
誰かさんがケーキをこの雨の中に置いてったんだ
俺にはこんなの耐えられない
焼き上げるのにどんだけ時間がかかったか
それにもうあのレシピは持ってないし手に入らないのに
ああもう!
なんてこった!
感想:ひと言ふた言み言
泣きそうになってみたり強気なこと言ってみたりの歌詞と、疾走感としんみりの差が激しいオーケストラ。あまりにも情緒不安定です笑
失恋がどれだけショックだったか、十分伝わってきます笑
今まで何度も聞いてるし、7分半もの長さです。普通飽きてもおかしくない。
飽きることができないのは、もはやこの曲の魔法のような気さえします。
実体験に基づいているとはいえ、愛をケーキとレシピに喩えようという思いつき、すごいなあと思います。天才的で叙情的な歌詞、本当にあっぱれです。
ちなみにわたしは間奏の手前”And wondering why”の声の震えがすごく好きです笑
この先この男は無事に生きていけるのか?と思わず心配になります。
公園でびしょ濡れの男がこんな震え声、私が相手ならヨリを戻さざるを得ません・・・
Oh noって言葉はこの曲で使われるために生まれた言葉なんじゃないの?って感じるくらいの悲壮感不謹慎ながら笑みがこぼれてしまうのでした。